AIを活用した食品製造の外観検査とは

カップ麺,食品

1. 食品製造における外観検査とは

外観検査は、製品や原材料の品質が規格に合っているかどうかを判定する製造工程の1つで、不良や不要なもの(異物)が含まれていないことを保証するために行われます。食品製造の段階で、外観検査で検出しなければならない欠陥には主に以下のようなものがあります。

検査対象 不良・欠陥例
包装 印字ズレ・印字間違い、フタの割れ、パッケージの傷・汚れなど
食品容器 焦げ・焼け、破れ、凹み、汚れ・キズ・異物・コンタミ、印刷ミスなど
内容物 異物混入、形状や色、大きさといった不良品など

 

2. 食品製造における外観検査の従来手法と課題

食品製造おける異物混入などの外観検査では主に「人による目視検査」と「検査装置による検査」が行われています。
ここではそれぞれの検査の概要とその課題について解説します。

目視検査の概要と課題

外観検査における一般的な方法は、人間の目で製品や原材料を確認して良否判定を行う「目視検査」です。目視検査は、特別な設備が不要で設備費用や開発費用などのイニシャルコストが発生しないため、教育を受けた検査員さえ確保できれば、すぐに目視検査を実施できるメリットがありますが、以下のような課題もあります。

  • 人間の感覚で合否判定を行うのでヒューマンエラーが発生しやすい
  • 検査員によって不良品の判定基準にばらつきが発生する
  • 精神的・身体的疲れによって作業精度が下がる・スピードが遅くなる
  • 人手不足に伴い、目視検査を行う人員の確保が難しい

検査装置による検査の概要と課題

目視検査の課題を解決するために、検査装置を導入して検査を自動化するケースもあります。

検査装置では、ルールベースで異常品の判定を行うことができます。ルールベースとは、あらかじめ判定基準を検査装置に設定し、そのルールに合致するかどうかで判定を行う方法です。ルールとして設定できる項目としては、面積、形状、色などがあげられます。検査装置の導入には一定のコストが発生しますが、検査速度の向上や人手不足への対応など、目視検査の課題を解決することができます。一方で、ルールベースで判断する検査装置には以下のような課題もあります。

  • 明確にルールを定める必要があり、検査対象や背景にバリエーションがある場合はルール化できず検査できない
  • 異常の種類が多い場合は、設定が複雑化する。また、設定が複雑化するほど、過検知(過剰検知)や誤検知が増える
  • ルールの設定が属人化し、ノウハウが失われた場合に対応が難しい

特に食品は、金属製品やプラスチック製品とは異なり、大きさや形、色の濃淡のばらつきの度合いが大きかったり、味などのバリエーションが多くあったりします。これらのばらつきにルールベースでの検査装置で対応することは困難です。そのような理由で外観検査装置を導入できずに、目視検査で検査を行っている現場が多く残っています。

3. 食品製造の外観検査へのAI導入

前述した目視検査や検査装置による食品製造の外観検査の課題はAIを導入することにより解消することができます。AI導入のメリットや課題、そして異物混入等に関する検査装置や目視検査の課題を解消するための取り組みが、外観検査へのAI導入です。AI導入のメリットや課題、そしてアラヤの外観検査用パッケージソフト「InspectAI」について説明します。

食品製造の外観検査におけるAI導入のメリット

AIによる外観検査は、目視検査やルールベースで判断する検査装置の課題を解決することができます。具体的には、AIを導入することで以下のようなメリットが得られます。

  • ルールが定義できないような曖昧な基準の分類に対応できる
  • 異常品のパターンが多い場合に対応できる

ルールベースで判断する検査装置とは異なり、AIの場合、入力されたデータに含まれる「特徴」を、AIが自ら学習して良否判定をできるようになるため、明確に正常品・異常品を定義する必要がありません。人の目で判断できるものであれば、事前に読み込ませた画像データより自動でAIが判断します。

一般的なAI導入の課題 

AIを使った外観検査は画期的な仕組みですが、一般的なAI開発には、大量の学習データ(画像)を準備する必要があります。正常品・不良品それぞれの画像データを数百枚程度用意して学習させなければなりませんが、以下のような課題があります。

  • 不良品(異常品)の発生頻度が少ないため、画像の準備に時間がかかり、そもそも集めるのが困難
  • 食品業界では多品種の製造をすることが多く、また、新商品の登場や商品の改良の頻度も高いので、毎回の品種ごとのデータ取得が大変

アラヤのAI外観検査用ソフト「InspectAI」なら、一般的なAI導入の課題が解決可能

アラヤの提供するAI外観検査用ソフト「InspectAI」(インスペクト・エーアイ)は、前述した課題を解決できる機能を持ち合わせたパッケージソフトです。ここではいくつかある特長の中から主に、食品検査において重要なポイントとなる点をご紹介します。

正常画像のみで学習可能、少量の不要画像を加えることでより高精度な検査を実現

InspectAIでは、基本的に不良品の学習データを必要とせず、数百枚の正常品の画像のみで検査が可能になります。

また、数百枚の正常品の画像に、数枚の不良品の画像を加えて学習することで、より高精度な判定を行うことが可能になります。公開データセットを使った弊社内の実験では、正常画像300枚程度、不良画像5枚を学習させることで、高精度(93.5%、従来手法よりも15.2ポイント高い)で不良を検知することを確認しました。

多品種生産に対応

正常画像と少量の不良画像をInspectAIに学習させることで、食品製造でよく行われる多品種生産にもスムーズに対応できます。例えば、ラーメンで醤油味とシーフード味を製造し、混入する異物(髪の毛など)が共通な場合、複数の品種を1つのモデルで検査することが可能で、品種が変わるごとにモデルを変える手間がかかりません。またその場合、不良画像は1品種のデータさえ収集すればよく、 全品種の不良画像を収集する必要がなくなり、データ収集の手間を大幅に削減することが可能です。

4. InspectAIを活用した食品検査例の紹介

ここではInspectAIの活用した食品製造での外観検査の具体例をご紹介します。

カップ麺の異物混入検知(デモ動画)

カップ麺に混入した異物(プラスチック片と毛髪)を検知しているデモ動画になります。ルールベースの検査装置や従来のAIでは対応が難しい検査を実現しています。

  • 様々な具材の位置・見え方にも対応可能
  • 白色のプラスチック片を、白色のネギやタコといった食材と間違えず、正確に異物として検知
  • 細さ0.1mm以下の毛髪を、4Kカメラを使うことで異物として検知
  • 異物の形が様々でも、正確に検知
  • 1つのモデルで複数種類(違う味などのバリエーション)の検査を実現

ダイス化された野菜の茹で工程後の異物混入検査

従来の検査の課題

野菜は個体ごとに形状が少しずつ異なっています。茹で工程後はそれぞれの野菜の色味もそれぞれ微妙に変わってきますので、一見して不良品や異物を見つけることは人の目でも熟練が必要になります。そのため、ルールベースの検査装置では、定義が複雑すぎるために適用が難しいという課題があります。

また、同じ製造ライン上を時間帯によって異なる食材が流れる場合、同一の検査装置では対応が難しいという状況もあります。

InspectAI導入による効果

InspectAIは、不良や異物の定義が難しいため検知が難しい場合にも、データを学習することにより対応可能です。正常画像と少量の不良画像をInspectAIに学習させることにより、良品/不良品を判別できるようになります。

また、InspectAIは、検出対象が同じであれば1つのモデルで検査が可能です。そのため、同じ製造ライン上を時間帯によって異なる食材が流れる場合でも、食材ごとにモデルを構築することや、時間帯によりモデルを切り替える必要はありません。

ソーセージの切り離し後の形状検査

従来の検査の課題

切り離し後のソーセージは、1本ごとの形状が完全に同じではなく、ライン上を重なって流れます。そのため、正常品と異常品の区別を明確にルール化することが難しく、検査装置は導入せず、人手の目視検査が主流となっています。目視検査では、先に挙げた課題の通り、基準が一定せず、ヒューマンエラーのリスクを回避できないなどの課題があります。

InspectAI導入による効果

ばらつきのあるソーセージの良品データをAIに学習させることで、曖昧さをAIが判断できるようになり、結果的に不良品の判断も可能となります。InspectAIを活用することで、目視検査を代替し自動化することが可能になります。

弁当製造での異物混入確認

従来の確認の課題

弁当製造において、調理及び盛り付け(容器詰め)の作業の多くは人の手で行われているため、毛髪などの異物混入のリスクが発生します。そのため、最終確認の工程として、異物混入の確認をしていますが、確認する上で、毛髪などの有機物は成分が食品に近いため、検査装置での検出が困難で、目視検査に依存せざるを得ない状況です。目視検査に伴うヒューマンエラーのリスクがあります。

InspectAI導入による効果

この課題に対して、InspectAIと高精細カメラを使用することで、画像から食品表面上の髪の毛の付着を検出することにできます。人の目では見分けのつきにくい対象物であっても、高精細カメラを使用することで、髪の毛など微小な対象物を高解像度で撮影することが可能です。その上で、弁当の正しい状態についてAIが学習した結果、異物の検出が出来る様になります。

異物混入の検出以外にも、弁当のおかずの種類、数、場所が正しく盛り付けられているか、といった最終確認に対しても対応可能です。

5. まとめ

この記事では、食品製造における外観検査の概要から課題、そして外観検査へのAI導入について解説しました。アラヤでは目視検査の自動化に必要なノウハウやサービスをご用意しています。お気軽にご相談ください。

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