研究成果のプレスリリースとは?書くポイントや4ステップの進め方を解説

コラム 2026.04.10

研究成果が論文としてまとまっても、「社会にどう伝えればよいのか分からない」と悩む研究者や研究機関は少なくありません。研究内容は専門性が高く、そのままでは一般の読者やメディアに伝わりにくいためです。

そこで有効なのが、研究成果を分かりやすく整理して外部に届けるプレスリリースです。

本記事では、研究成果のプレスリリースを書くポイントや4ステップの進め方を解説します。

研究成果のプレスリリースとは?目的と役割

研究成果のプレスリリースとは、研究論文や研究結果をメディアに向けて発表し、社会へ広く伝えるための情報発信資料です。論文が専門家向けの成果報告であるのに対し、プレスリリースは、研究内容を非専門者にも伝わる形に整理した資料といえます。

科学研究の多くは公的資金に支えられており、その成果は社会へ還元されることが求められています。そのため、研究成果を適切に発信することは、研究活動の一部と捉えられています。

講演会や展示、SNSなども発信手段ですが、メディア報道は一度に多くの人へ届けやすく、プレスリリースはその起点となります。

特に、研究成果に新規性がある場合や社会課題との関連が強い場合、一般の生活や産業への影響が想定される場合には、プレスリリースによって研究の価値を社会へ広く伝えやすくなります。

研究成果のプレスリリースを書く上でのポイント4つ

研究成果のプレスリリースでは、専門的な内容をそのまま載せるのではなく、記者や一般の読者にも伝わる形に整理することが重要です。

ここでは、研究成果を分かりやすく伝えるために押さえたい4つのポイントを紹介します。

ポイント1:研究成果が伝わるタイトルを作る

タイトルは、研究成果の要点を端的に示すことが重要です。記者はタイトルを見て「記事化する価値があるか」を判断するため、内容の理解と興味喚起の両方が求められます。

新しい発見や研究の意義など、ニュース性のある要素を含めることで、掲載の可能性が高まります。一方で、専門用語を多用すると内容が伝わず、機会損失につながります。

専門性とニュース性のバランスを取り、「誰が読んでも何の研究かが分かる状態」を目指すことが重要です。

一方、「◯◯に関する研究」など内容が抽象的すぎたり、専門用語だけで構成されていたりするタイトルは、研究の価値が伝わりにくくなります。
そのため、タイトルから、何が分かり、何に役立つ研究なのかが見える表現を意識することが欠かせません。

ポイント2:研究成果の概要を簡潔にまとめる

プレスリリースの冒頭では、研究成果の概要を短く整理します。ここで読者が内容を理解できないと、その先は読まれません。

最低限、「何を明らかにした研究か」「どのような意義があるのか」を簡潔にまとめる必要があります。

このときは、背景説明を長く書くよりも先に研究成果の結論を示し、その後に補足情報を続ける構成が有効です。記者や読者は短時間で要点を把握したいため、最初に答えが見える形にしておく必要があります。研究室の打ち合わせで説明する内容を、そのまま文章化するイメージが有効です。

また、著者名・掲載誌・出版日などの論文情報も、必要に応じて整理して記載します。これにより、信頼性の担保と情報の追跡が可能になります。

ポイント3:研究内容を分かりやすく説明する

研究内容は、「背景→方法→結果」の流れで整理すると理解されやすくなります。論文構成をベースにしつつ、一般読者向けに言い換えることが必要です。

専門用語はできるだけ避けるか、簡単な説明を添えます。例えば研究室内では通じる略語でも、外部には伝わらない前提で整理します。

視覚資料と「社会的意義」で価値を伝える

さらに、図や写真を活用することで、研究内容の理解が進みます。模式図や実験結果の可視化は、記事化される際にも有効です。あわせて、研究の新規性や社会的意義を明確に示すことで、「なぜこの研究が重要なのか」を読者が判断できる状態にしましょう。

ただし、分かりやすさを優先するあまり、研究結果を過度に単純化したり、実際以上に効果を強く見せたりしないよう注意が必要です。研究内容の正確さを保ちながら、非専門者にも伝わる表現へ言い換えることが重要です。

ポイント4:研究者コメントや関連情報を掲載する

研究者コメントを掲載することで、研究の背景や意義を補足できます。特に「なぜこの研究に取り組んだのか」という動機は、外部には伝わりにくい情報です。

研究のきっかけや今後の展望を示すことで、単なる結果報告ではなく、ストーリーとして理解されやすくなります。

また、研究者本人の言葉が入ることで、研究成果の背景や社会的な意義が伝わりやすくなります。機械的な説明だけでは伝わりにくい研究の温度感や問題意識を補える点も、コメントを入れる価値です。

研究成果のプレスリリース作成前に準備しておく情報

プレスリリースは、研究成果をメディアに伝えるための資料であり、事前準備によって品質と作業効率が大きく変わります。

特に、研究内容を正確かつ分かりやすく伝えるためには、基本情報を整理しておくことが欠かせません。必要な情報が事前に整理されていないと、広報担当とのやり取りや原稿確認に時間がかかり、情報公開のスケジュールにも影響しやすいためです。

準備しておくべき情報は次の通りです。

  • 論文情報:論文タイトル、著者、掲載誌、公開日など
  • 研究成果の要点:何を明らかにしたか、新規性や意義
  • 図・画像:実験結果、模式図、研究イメージ
  • 研究者コメント:背景、意義、今後の展望

これらを事前に整理しておくことで、プレスリリース作成だけでなく、メディア対応も円滑に進めやすいでしょう。

研究成果のプレスリリースを進める4ステップ

研究成果のプレスリリースは、原稿を書くだけでは完結しません。公開するタイミングの確認から配信後の対応までを一連の流れとして捉えることが重要です。

ここでは、4ステップに分けてプレスリリースの進め方を整理します。

ステップ1:情報を公開するタイミングを確認する

研究成果のプレスリリースは、論文公開のタイミングに合わせて行われることが一般的です。

多くの学術雑誌では、情報解禁日時(エンバーゴ)が設定されています。
そのため、投稿先の学術雑誌や出版社の案内、研究機関内の広報ルールなどを確認し、どの時点から外部公開できるのかを事前に整理しておく必要があります。これに違反すると信頼性に影響するため、事前確認が不可欠です。

プレスリリース配信日や記者発表日は、論文公開スケジュールと整合させて調整します。

ステップ2:プレスリリース資料を作成する

タイトル・概要・研究内容などを整理し、プレスリリース資料を作成します。

図や写真などのビジュアル素材もあわせて準備し、理解しやすい構成にします。論文情報や研究者コメントも含め、記事作成に必要な情報を一式揃えることが重要です。

また、公開前には研究者本人や関係部門による内容確認を行い、専門的な正確性と対外発信としての分かりやすさの両方を確認することが重要です。記者が資料を読んだだけで記事を書ける状態を目指すと、掲載確率が高まります。

ステップ3:メディアへの配信先を選定する

プレスリリースは、新聞社・通信社・テレビ局・Webメディアなどに配信されます。研究分野に応じて、専門メディアも対象となります。

重要なのは、適切な担当部署(科学部など)へ情報を届けることです。
例えば、医療分野であれば医療・科学系の媒体、産業応用に関わる研究であればビジネス系や業界専門メディアなど、研究成果の内容に応じて優先度を付けて選定することが有効です。無差別配信ではなく、関連性の高いメディアを選定します。

ステップ4:プレスリリース配信後の取材対応をおこなう

配信後は、メディアからの問い合わせや追加取材が発生する場合があります。記者発表会では、研究内容の説明や質疑応答を行います。また、画像や研究資料の提供を求められることもあります。

そのため、想定される質問への回答や提供可能な画像・参考資料を事前に整理しておくと、取材依頼が入った際にもスムーズに対応しやすいです。
また、報道掲載後には、講演依頼や追加取材などの反響が生まれることもあります。

まとめ:研究成果の価値を社会に届けるにはプレスリリースの活用が重要

  • プレスリリースは研究成果を社会に伝えるための重要な手段
  • 書き方では、タイトル・概要・研究の意義を分かりやすくまとめることが重要
  • 情報解禁の確認、資料作成、配信、取材対応の順で進めると整理しやすい

研究成果を適切にプレスリリースできれば、その価値を専門家の外にも広げやすくなります。社会への理解促進やメディア掲載のきっかけになるだけでなく、研究活動そのものの意義を伝える機会にもなります。

そのためには、研究者だけで抱え込まず、広報担当と連携しながら準備を進めることが重要です。

まずは、最近発表した研究成果や論文がある場合、「プレスリリースが可能か」を検討してみましょう。次に、研究成果の概要を一般向けに説明する文章を作成するところから始めると、実務に落とし込みやすくなります。

arayainc
執筆監修

株式会社アラヤ

先端AIとニューロテックを基盤とするディープテックベンチャーです。ムーンショット型研究開発への参画をはじめ、企業・大学との共同研究実績を多数有し、現役研究者とエンジニアが一体となった研究支援を提供しています。大学・研究機関における持続可能な研究体制の構築と研究力強化に貢献してまいります。

主な事業概要
AIアルゴリズム開発(ディープラーニング・エッジAI・自律AI)、建設DXソリューション、研究現場の業務効率化支援(Research DX)など、基礎研究から社会実装まで一貫して手がけています。