AI搭載ドローンによるインフラ点検|送電線・橋梁・外壁調査を安全に効率化を

プロジェクト概要
近年、AI搭載のドローンが、送電線や橋、工場などのインフラ点検に使われるようになっています。
これにより、以前は人が行っていた高所や危険な場所の点検作業を、AIドローンが安全に、そして効率よくサポートできるようになりました。
ここでは、AIドローン点検のしくみや、どんな現場で活用できるのか、そして導入のメリットについて、わかりやすくご紹介します。
ドローン点検とは?AI搭載型との違いと特徴

AIドローン
AI搭載ドローン点検とは、AI(人工知能)を使って、建物や設備を自動で点検するしくみです。
この技術により、高い場所や広い敷地の点検を、安全かつ効率よく行うことができるようになります。
一般的なドローン点検との違い
これまでのドローン点検は、人が手動でドローンを操作し、カメラで対象を撮影する方法が一般的でした。
その映像や写真を後で人が確認し、異常がないかどうかを目視で判断していました。
それに対して、AI搭載ドローン点検では以下のような違いがあります。
1. 自律飛行ができる:あらかじめ設定したルートをAIが自動で飛行
2. 異常を自動で見つける:AIが画像を分析し、ヒビ・サビ・劣化などの兆候を自動検出
3. レポート作成を自動化:AIが収集した情報をもとに、点検レポートを自動で生成
AIを使った自律飛行や画像解析については、IPAによるAI用語解説(深層学習)もご参照ください。
AI搭載ドローン点検のメリットと特徴
AIを搭載したドローンによる点検は、従来の人力や目視による作業と比べて、多くのメリットがあります。
ここでは、インフラ設備や工場、物流施設などの現場で活用されている理由を、具体的なメリットごとにご紹介します。
高所・危険エリアの点検を安全に実施できる
従来、送電線や橋梁、工場の配管などの点検は、人が高所や狭い場所に立ち入る必要があり、転落事故や感電のリスクがありました。
AIドローンなら、人が近づかなくても対象物を撮影・分析できるため、作業者の安全性が大きく向上します。
点検作業を効率化し、コスト削減にもつながる
AIドローンは自律飛行によって、あらかじめ設定したルートを自動で飛行しながら点検を行います。
これにより、作業時間を短縮でき、人手や作業日数の削減によるコストカットにもつながります。
広範囲の施設や構造物を短時間でカバーできる
大規模な倉庫や工場、長距離の送電線などの広範囲の点検も、AIドローンならスピーディーに対応可能です。
人が移動する時間を大幅に短縮でき、効率よく全体をチェックできます。
画像解析による異常検知の自動化が可能
AIは、撮影した映像や写真から劣化・ひび割れ・腐食などの異常を自動で検出することもできます。
これにより、見落としのリスクを減らし、点検精度を高めることができます。
レポート作成の自動化で業務負担を軽減
点検後のレポート作成も、AIがデータを整理して自動生成する仕組みを導入可能です。
これにより、報告作業の手間を大幅に減らし、保守計画や管理業務の効率化にも役立ちます。
AIドローンの活用例

AIドローンの活用
ここでは、実際に活用されている代表的な例として、倉庫・送電線・工場の配管検査をご紹介します。
倉庫
倉庫では、人が棚を歩いてバーコードやQRコードを一つずつ読み取る必要があり、作業に時間と労力がかかっていました。
さらに、高い棚では脚立を使った作業もあり、転倒や落下のリスクもあります。
こうした課題に対して、AI搭載ドローンが棚の間を自動で飛行し、在庫ラベルをスキャンすることで、棚卸作業を自動化・省力化できます。
その結果、作業時間の短縮・ミスの削減・操業停止の最小化・作業者の安全性向上といったメリットがある活用方法です。
送電線
送電線の点検は、高所作業車や人の目視確認が必要で、安全リスクや膨大な作業時間が課題でした。
特に山間部や広大な敷地では、アクセス自体が困難な場合もあります。
AI搭載ドローンを使えば、送電線のたわみに沿って自律飛行し、常に適切な距離と角度で送電線を撮影することが可能です。
これにより、安全性の確保・点検の高速化・高精度な画像取得・作業コスト削減といった効果が期待できる活用方法です。
配管検査
工場内の配管は、高所や複雑なルートに設置されていることが多く、点検には多くの時間と人手が必要でした。
また、高温・高湿度などの過酷な環境もあり、作業者の安全確保が課題となっていました。
AIドローンは、配管に沿って自動で飛行しながら、カメラやセンサーで損傷や異常の有無を確認することができます。
これにより、省力化・点検精度の向上・作業者の安全性確保・検査記録の自動化を行う活用方法です。
アラヤではこのほかにもさまざまな業種・施設でAI開発をサポートしています。詳しい事例はこちらをご覧ください。
AIドローンの実現を支える技術

AI搭載ドローンの自律飛行
AI搭載ドローンの自律飛行は、深層学習(ディープラーニング)を活用した制御技術によって実現されています。
ドローンが撮影する現在のカメラ映像をもとに、機体が自ら進むべき方向を判断する仕組みです。
具体的には、ドローンが撮影した画像データを入力とし、「左に旋回する」「前に進む」「右に旋回する」といった制御コマンドを出力する深層ニューラルネットワーク(人間の脳をまねたAIの判断モデル)を設計します。
このネットワークは、教師あり学習や強化学習という手法を用いてトレーニングされ、現場での自律的な飛行判断を可能にしています。
AIドローンを導入するときの注意点・デメリット
AI搭載ドローンは多くの現場で業務を効率化できる一方で、導入時にはいくつかの確認・調整が必要です。
あらかじめ注意点やデメリットを理解しておくことで、よりスムーズな導入・運用が可能になります。
初期導入には技術的な検証が必要
AIドローンは高度な自律飛行機能を備えていますが、点検対象の構造や環境によっては事前調整や検証が必要になる場合があります。
とくに「屋内」「構造物の密集地」「変化の大きい現場」では、環境に適した飛行パターンの設計やテスト飛行を行うことをおすすめします。
ドローンの飛行に関するルールについては、国土交通省の無人航空機の飛行ルールをご確認ください。
ネットワーク・電源など現場インフラへの配慮
リアルタイムでのデータ転送や通信が必要な場合、現場のネットワーク環境(Wi-Fi・5Gなど)や電源設備の確認が必要です。
通信の遅延やデータ処理の遅れが発生しないよう、事前にインフラの整備を行っておくことが重要です。
操作トレーニングや社内理解が必要な場合もある
操作自体は比較的シンプルでも、AIの動作や自律飛行の特性を理解したうえで運用することが望ましいです。
また、現場担当者や管理部門との連携も重要になるため、社内説明や導入ワークショップを行うことでスムーズな活用につながります。
現場に最適解なAI開発と導入のサポート
AIドローンの導入には、単なる技術提供だけでなく、現場への適応や業務プロセスとの整合性が求められます。
アラヤでは、ヒアリングから実装・改善までをワンストップでサポート。お客様ごとの課題に合わせた柔軟な支援を行っています。
1.課題・業務プロセスのヒアリング:
現場の状況や業務フローについて丁寧にヒアリングし、本質的な課題の整理と明確化を行います。
2.AIの提案・開発:
コンサルティングやソリューション設計、プロダクト活用などを通じて、多角的な視点から最適なAI提案と開発を行います。
3.現場実装とフィードバック:
クライアントの現場での実装・検証を通じて、実体験に基づく改善・チューニングを実施。現場に根差した運用設計を支援します。
4.運用後の分析・改善:
導入後も継続的な分析とフィードバックを行い、AIの精度向上とニーズに応じた改良をサポートします。
AI搭載ドローンの導入を検討している方へ|ドローンに搭載されたアラヤ製AI技術の活用事例をご紹介
「自社業務にAIドローンを導入できるか不安…」
「GPSが届かない現場でも使えるの?」
そんな声にお応えするのが、アラヤが開発するAI技術です。
アラヤ開発のAI技術を搭載したドローンは、これまでドローンの自動飛行が難しかった環境や複雑なシーンにも対応可能な次世代型です。。
ここではアラヤ開発のAI技術を搭載したドローン事例を詳しくご紹介しています。
特徴①GPSが使えない場所でも飛行可能
従来のドローンは、自動飛行の多くをGPSに依存しており、屋内や地下、密集した構造物の間などでは飛行が困難でした。
アラヤ開発のAI技術を搭載したドローンは、搭載カメラの視覚情報だけで自律飛行を実現。
そのため、GPSが届かない環境でも安定した飛行・点検作業が可能です。
特徴②変化する環境にも対応可能
多くの従来型ドローンは、静的な環境を前提とした事前設定ルートのみでしか自動飛行できませんでした。
そのため、人や車が出入りするような現場では安定性に欠けるという課題がありました。
アラヤ開発のAI技術を搭載したドローンは、周囲の変化に応じてリアルタイムで飛行経路を調整可能。
動的な環境でも安全に、柔軟に、その場の状況に合わせた点検飛行を行えます。
まずは無料相談で導入の可能性をチェック
アラヤでは、ドローンの活用可能性について無料でのご相談や導入診断を行っています。 無料相談バナー
「うちの現場でも使える?」「点検フローと合うか心配…」といった疑問もお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q1:屋内でもドローンは安定して飛ばせますか?
A:はい。アラヤが開発するAI技術ではGPS非対応エリア(屋内や地下など)でも安定飛行が可能です。
カメラ映像から位置情報を推定する技術により、構造物の多い環境でも自律飛行を実現します。
Q2:AIによる異常検知はどのように行われますか?
A:ドローンが撮影した映像をもとに、深層学習によって学習したモデルがひび割れや腐食などの異常を自動で検出します。
判断結果は自動でレポートに反映されるため、点検作業の省力化が可能です。
Q3:高所や狭い場所でも飛行できますか?
A:可能です。工場や構造物の裏側など、人が入りにくい場所でもドローンによる点検が可能です。
小型機体や衝突防止機能を活用し、安全に飛行・撮影を行えます。
Q4:リアルタイム映像の確認や操作はできますか?
A:はい。リアルタイムでの映像モニタリングと操作が可能です。
遠隔からの映像確認や記録もでき、点検後の振り返りにも活用できます。
Q5:どのような現場で導入されていますか?
A:これまでに、送電線、橋梁、工場、倉庫、プラント設備などのインフラ点検で導入実績があります。
特に、安全性・省人化・効率化を重視する現場で選ばれています。
まとめ
AIを活用したドローン点検は、高所作業や広範囲のインフラ点検をより安全かつ効率的に実施できる、新しい選択肢です。
アラヤでは、GPSに頼らない自律飛行技術や、動的環境への適応力を備えた独自のAI技術を開発・導入支援をしています。
さらに、開発・事前調査・実装・改善までを一貫してサポートする体制により、現場へのスムーズな導入が可能です。 無料相談バナー

金井 良太
【経歴】
2000年 京都大学理学部卒業
2005年 オランダ・ユトレヒト大学で人間の視覚情報処理メカニズムの研究でPhD取得(Cum Laude)米国カルフォルニア工科大学、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンにて研究員JSTさきがけ研究員、英国サセックス大学准教授(認知神経科学)
2013年 株式会社アラヤを創業
2020年〜内閣府ムーンショット事業プロジェクトマネージャーとしてブレイン・マシン・インターフェースの実用化に取り組む
【受賞歴】
文部科学大臣表彰若手科学者賞
ET/IoT Technology Award(2019)、JEITA ベンチャー賞(2020)など多数受賞