エッジAIのメリット・デメリット完全ガイド|失敗しない導入ポイント

開発事例 2022.02.14

エッジAIってどんな仕組み?どんなメリットやデメリットがあるの?とお悩みの方に向けて、わかりやすくまとめました。
リアルタイム性や省電力化などのメリット、導入時の注意点もあわせてご紹介します。

最後に、エッジAI導入で失敗しないための無料相談もご案内しています。
ぜひ最後までご覧ください。

(1)最新エッジAI技術のトレンド
・(2)エッジAIの実装時に考慮すべき5つのポイント(本記事)

目次

そもそもエッジAIとは?

最近、「エッジAI」という言葉をよく耳にするようになった方も多いでしょう。
エッジAIとは、AI(人工知能)を工場や倉庫などの機械やセンサーに直接組み込んで活用する技術です。

これまで、AIによるデータ分析や予測はクラウドの大きなコンピューターに頼ることが一般的でしたが、エッジAIでは現場にある機械の中でAIがそのまま動いてくれるのが特徴です。
この仕組みは、省電力化やリアルタイム処理に役立つことから注目されています。
詳しい技術解説はNVDIA ロボティクスとエッジコンピューティング を参照ください。

クライドAIとの違い

●クラウドAI:データをいったんネットワークでクラウドに送ってから分析
●エッジAI:データをその場で即座に処理・分析

たとえば、工場のカメラ映像をその場で分析して、危険な動きを感知すると即座にアラートを出すことができます。
このようにリアルタイムに反応できる点が大きなメリットです。

さまざまな分野でエッジAIは活躍中

エッジAIは物流倉庫や建設現場などで活躍中です。
フォークリフトやクレーンなどが動く現場で、カメラ映像やセンサーの情報をすぐに分析して事故を防ぐ役割を果たします。
ほかにも、医療や小売業でも、患者データや在庫情報のリアルタイム分析にも活用されています。

さらに、データをクラウドに送らないことで、通信コストの削減や情報漏えいリスクの低減にもつながっています。

エッジAIのメリット4選

3Dにするときの注意点

エッジAIの4つのメリット

エッジAIには、現場ですぐにAIが動いてくれるという大きなメリットがあります。
データをクラウドに送らなくても、その場で処理・分析できるため、作業現場での安全性や効率が高まります。
ここでは、エッジAIの4つのメリットをご紹介します。

リアルタイムの反応が可能

クラウドに頼らないため、通信の待ち時間がなくなり、リアルタイムで反応できるのが最大の特徴です。
たとえば、工場のカメラが危険な動きを感知したとき、エッジAIならすぐにアラートを出してくれます。

これにより、事故を防いだり、作業をスムーズに進めたりすることが可能です。

通信コストの削減

エッジAIは、データをクラウドに送らないことで、通信にかかるコストを抑えられるのもメリットの1つです。
特に、物流倉庫や建設現場などでは、大量のデータが日々発生し、その通信費は大きな負担になります。
エッジAIなら、現場でデータを処理できるので、無駄な通信が減りコスト削減につながります。

プライバシー保護

クラウドにデータを送らないため、情報漏えいのリスクも低くなります。
たとえば、医療現場では患者データを扱うため、プライバシー保護がとても大事なポイントです。
エッジAIなら、機密情報も現場で安全に処理できるのです。

さまざまな分野での応用に優れている

エッジAIは、物流や製造業だけでなく、医療や自動運転など幅広い分野で活用されています。通信が途絶えても、その場で推論が続けられるため「止まらない」ことは、エッジAIの大きな安心材料です。
病院では、患者のデータをその場で分析し、診療をサポートする役割があります。
自動運転では、周囲の自動車や歩行者の動きなどをリアルタイムで把握して、運転を最適化するのに役立っています。

このように、エッジAIは省電力化やデータローカル化など、さまざまなメリットを持っており、今後も幅広い分野での活用が期待されています。

さらに詳しいエッジAIの活用事例はこちらをご覧ください。

エッジAIのデメリット4選

AIが画像から3D化

エッジAIのデメリット

エッジAIには多くのメリットがありますが、実際に導入するときにはいくつかの課題やデメリットもあります。
ここでは、エッジAIの代表的な4つのデメリットについてわかりやすくご紹介します。

高い導入コスト

エッジAIを活用するには、専用のハードウェアやソフトウェアが必要になることが多いです。
そのため、初期投資や開発費が高くなりやすいのがデメリットです。
特に、中小企業ではコスト面のハードルが大きく感じられることがあります。

運用管理の複雑さ

エッジAIは、AIモデルの更新やデバイスの管理が必要です。
クラウドAIよりも現場に近い場所で動くので、管理がより複雑になります。

現場の技術者の負担も増えることがあるため、MLOps(AIの開発・運用を効率化する仕組み)などを整えて、運用管理を効率化する必要があります。

ハードウェア制約スケーラビリティの制約

エッジAIは、エッジデバイスのメモリや演算能力に制約があります。
現場に置かれる機器は、消費電力やスペースの制約を受けやすいことが理由です。

そのため、AIの処理速度や精度を上げるのが難しいこともあります。
また、大規模にエッジAIを展開する場合、ネットワーク帯域や拡張性に課題が出てくるのもデメリットに。

セキュリティリスクへの注意

エッジAIは現場で直接動くため、物理的なリスクやサイバー攻撃への注意が必要です。
たとえば、現場の端末が盗まれたり、不正アクセスを受けたりする恐れがあります。

特に、工場や物流現場では人の出入りも多いため、デバイスの物理的なセキュリティ対策や、データ暗号化が重要です。
また、消費電力を抑える工夫や、リアルタイム処理を支える仕組みも考慮する必要も出てきます。

どうしてデメリットが生じる?原因を深掘り

3D技術

デメリット

ではエッジAIはなぜデメリットが生じてしまうのでしょうか。ここでは、デメリットの原因についてご紹介していきます。

小型・省電力の制約が生じる原因

エッジデバイスは小型で省電力なため、メモリや演算能力に限界があります。
これが、AIモデルの大きさや処理速度に制約を与える原因になっています。

運用管理の複雑になる原因

現場で直接AIを動かすため、クラウドAIよりも運用や管理が複雑になります。
特に、AIモデルの更新やセキュリティ対策が必要になり、現場の負担が増えることもあります。

スケーラビリティの課題が生じる原因

エッジAIはネットワーク帯域を節約できる一方で、大量の端末を同時に展開する際にはスケーラビリティの課題が生じます。

このような原因を知っておくと、エッジAIの導入で失敗を避けやすくなります。

エッジAI実装を失敗させない|導入時の注意点

エッジAIを導入するときには、いくつかの注意点があります。ここでは、重要な6つのポイントをご紹介します。
実装に失敗しないように、事前にチェックしておきたいポイントです。

エッジAIのメリット・デメリットを考慮する

エッジAIには、リアルタイム性やプライバシー保護などのメリットがあります。
しかし、初期投資が高くなることや、運用管理が複雑になるデメリットもあります。
導入前に、メリットとデメリットの両方をしっかり比べることが大切です。

速度と精度のトレードオフを考慮する

エッジAIでは、AIモデルを軽くすると処理が速くなりますが、精度が少し下がることもあります。
現場でどのくらいの速度が必要で、どのくらいの精度低下なら問題ないかを考えておくと実装後の失敗を防げるでしょう。

エッジデバイスでのベンチマークをとる

エッジAIをうまく動かすには、実際の機器で動作テストを行うことが大切です。
ハードウェアやソフトウェアによって性能は変わるため、事前にベンチマークをとって検証することが必要です。

AIモデルがエッジデバイスへ搭載可能か否かを検討する

すべてのAIモデルがエッジデバイスにそのまま載せられるわけではありません。
使いたいモデルが、機器の仕様やサポートしている機能に合うかを必ず確認しましょう。

ニューラルネットワークの軽量化を検討する

最後に、AIモデルの軽量化も重要です。枝刈りや量子化などの技術を活用することで、エッジデバイスでスムーズに動かせるようになります。

モデル軽量化に関する技術解説はこちら(TensorRTガイド)

開発ベンダーのサポートを受けて課題を明確化しておく

エッジAIの導入では、現場ごとの課題を整理することが大切です。
●開発ベンダー:エッジAIの実装や運用を専門に支援する外部のパートナーのこと

自社だけで進めると見落としが出ることもありますが、こうしたベンダーに相談すると、課題をより明確にできます。

こうした外部のサポートも、エッジAI実装を成功させるポイントとして大切です。

アラヤはデメリットを解決!安心のサポート体制

他社比較表

他社比較表

エッジAIの導入では、初期投資の大きさや運用管理の複雑さ、ハードウェア制約など、さまざまな課題が出てきます。
アラヤは、こうした幅広い課題に対応するための専門的なサポートを提供しています。

初期投資やコスト面の悩みは最適化で解決

アラヤでは、モデルの軽量化や最適化を行うことで、必要なハードウェアの性能を抑えつつ、求められる処理速度を確保します。
これにより、初期投資やランニングコストを無理なく抑えることができます。

運用管理の負担にはMLOpsで対応

エッジAIの運用では、モデル更新や管理の負担が大きくなりがちです。
アラヤは、MLOps(AIの開発・運用を効率化する仕組み)の考え方を取り入れた運用設計をサポートしており、現場の負担を減らせる仕組みを整えています。

ハードウェア制約やスケーラビリティの悩みにはオリジナルプランを提案

機器の性能制約や、複数拠点での展開などに悩む方も多いです。
アラヤでは、豊富な経験をもとに、現場や業務に合わせた最適なプランを提案します。
これにより、エッジAIの効果を最大化できるようになります。

まずは無料相談で課題整理を

「どこから始めたらいいかわからない」「エッジAIの導入で失敗したくない」という方は、ぜひ無料相談をご利用ください。
アラヤでは、現場の課題を一緒に整理し、最適な活用方法をご提案しています。

失敗しない導入のために|エッジAI開発ベンダーの選び方

エッジAIを導入するときには、自社だけでなく、開発や実装を支援する外部の開発ベンダーを活用するケースも多いです。
ここでは、失敗しないために大事な4つのポイントをお伝えします。

モデル軽量化の開発ノウハウがある

モデルの軽量化は、処理速度を高めたり、ハードウェアの制約を乗り越えたりするうえで欠かせません。
枝刈りや量子化など、複数の手法を組み合わせて最適化する知識を持ったベンダーが望ましいです。

ハードウェアの活用ノウハウがある

エッジAIはデバイスとセットで考える必要があります。
どの機器が現場に合うか、また、そのデバイスに合わせて開発するノウハウがあるかが重要です。
ハードウェアの選定や活用方法まで提案できるベンダーが安心です。

ビジネス要件と摺合せた提案ができる

速度や精度のトレードオフを踏まえ、ビジネスの目的に合った進め方を一緒に考えてくれることが大切です。
ときには、別の手段の方が良い場合もあります。柔軟に最適解を提案してくれるベンダーを選びましょう。

アラヤのエッジAIソリューション

アラヤでは、モデル軽量化や組み込み開発のノウハウを活かし、様々な業界に最適なエッジAIの活用方法を提案しています。
現場に合ったハードウェアや開発手法もサポートしており、手戻りの少ない実装を支援しています。
エッジAIの導入を検討している方は、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

よくある質問

Q1:エッジAIとはどんな技術ですか?
A:エッジAIは、現場にあるカメラやセンサーなどのエッジデバイスでAIがすぐに動く仕組みです。リアルタイム処理や省電力化にも役立ちます。

Q2:エッジAIを導入するときのデメリットはありますか?
A:はい。導入コストや運用管理の複雑さ、ハードウェアの制約などがあります。記事内でも詳しく解説しています。

Q3:モデル軽量化とは何をすることですか?
A:モデル軽量化は、AIモデルを小さくして処理を速くする技術です。枝刈りや量子化などの手法を使うことで、現場での動作をスムーズにします。

Q4:エッジAIの省電力化の仕組みは?
A:エッジAIは、データをクラウドに送らないので通信コストや消費電力を抑えられます。これは現場の効率化にもつながります。

Q5:スケーラビリティの問題はどう解決しますか?
A: 複数拠点への展開など、スケーラビリティの課題が出ることがあります。アラヤのような専門ベンダーは、最適なプランでこうした問題に対応できます。

Q6:アラヤのエッジAIサポートはどんな内容ですか?
A:アラヤは、モデル軽量化や最適化、ハードウェアに合わせた開発までサポートします。無料相談も受け付けているので、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

エッジAIはリアルタイム処理や省電力化など、現場の課題解決に大きな力を発揮してくれます。
一方で、導入コストや運用管理の負担などのデメリットもあります。
これらのメリットとデメリットを正しく理解し、課題に合わせた進め方を考えることが成功のカギです。

アラヤは、モデル軽量化や最適化、運用サポートまで豊富な経験と実績をもとに日々サポートを続けています。
無料相談も受け付けているので、エッジAIの導入に不安がある方はお気軽にご相談ください。

■記事一覧

(1)最新エッジAI技術のトレンド
・(2)エッジAIの実装時に考慮すべき5つのポイント(本記事)

執筆監修
代表取締役

金井 良太

【経歴】
2000年 京都大学理学部卒業
2005年 オランダ・ユトレヒト大学で人間の視覚情報処理メカニズムの研究でPhD取得(Cum Laude)米国カルフォルニア工科大学、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンにて研究員JSTさきがけ研究員、英国サセックス大学准教授(認知神経科学)
2013年 株式会社アラヤを創業
2020年〜内閣府ムーンショット事業プロジェクトマネージャーとしてブレイン・マシン・インターフェースの実用化に取り組む
【受賞歴】
文部科学大臣表彰若手科学者賞
ET/IoT Technology Award(2019)、JEITA ベンチャー賞(2020)など多数受賞