【空調コスト削減】AIで効率化!空調制御システムのメリット・事例・導入方法を解説

開発事例 2019.12.02
空調最適化

空調のムダをなくし、快適な環境を保ちながら省エネも実現する。
そんな理想を叶える手段として注目されているのが「AIによる空調制御システム」です。
人手をかけずに、建物全体の空調をリアルタイムに最適化。
実際にコスト削減や効率運用を実現した事例も増えており、導入を検討する企業が急増中です。

ここでは、空調制御システムのしくみから導入メリット、AI活用による効果や導入ステップまで、わかりやすく解説します。

空調の最適化が必要とされる理由?

最近では、電気代の高騰やZEB(ゼロエネルギービル)の推進、働く環境の快適性が求められるようになってきました。
そのため、エネルギー消費量をなるべく減らして快適さも保つ「空調の最適化」が注目されています。

特に中小企業やビル管理者にとって、冷暖房のムダな運転を減らすことで数十万円〜数百万円規模のコスト削減も可能になります。

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)に関する国の取り組み(国土交通省)

従来型 vs AI型:空調制御の違い

空調制御システムには、これまで主流だった「従来型」と、近年注目されている「AI型」の2つがあります。
それぞれの違いを知ることで、自社にとってどちらが適しているかの判断に役立ちます。

  従来型 AI型
制御の仕組み スケジュールや設定値に基づき繰り返しの動作 環境データをもとにAIが判断して最適化
柔軟性 外気温や人の動きに対して手動で調整 外気温・人流・時間帯を加味して自動制御
エネルギー効果 一定の効率だが、ムダが出ることも 学習を重ねてムダな運転を回避し省エネに繋がる
設定・運用負荷 初期設定や見直しに人手が必要 最初の設定以降はAIが自動で最適化を継続
運用の安定性 変化に弱く、設備・環境の変化に対応しづらい 学習しながら現場に合わせて進化し続ける

このように、AI型の空調制御は、従来型よりも柔軟でエネルギー効率にも優れている点が大きな魅力です。
「空調のムダをなくしたい」「人手を減らして効率化したい」と考える企業にとって、非常に有効な選択肢といえるでしょう。
アラヤの空調制御に関する詳細情報は、こちらのページでご確認いただけます。

AIによる空調制御のメリット

空調制御のメリット

空調制御のメリット


ビルや工場の空調は、光熱費の中でも大きな割合を占める部分。
AIによる空調制御を取り入れることで、「エネルギーのムダをなくしながら快適性もキープ」できる運用が可能になります。
ここでは、AI制御の強みと、実際にどんなことができるのかをご紹介します。

AI制御で実現できる“省エネ・快適性”の両立

従来の空調制御では、「快適さ」を優先すればムダなエネルギーがかかり、「省エネ」を重視すると不快に感じる場面も少なくありませんでした。
AIによる空調制御なら、センサーデータ(温度・湿度・人の動きなど)をリアルタイムで分析し、“今、この空間に最適な温度・風量”を自動で判断して制御します。

たとえば、会議室の利用人数が減れば風量を弱めたり、日射が強まったら冷房を強めたりと、細かく調整しながら快適性と電力コスト削減の両立を実現できます。

強化学習・模倣学習でできることとは?

AIによる空調制御では、「模倣学習」と「強化学習」2つの学習方法がよく使われます。

■模倣学習
人間の操作や、過去の「うまくいった制御データ」をマネして学習する方法。
早く導入できて、既存のノウハウを活用できるのが特徴です。

■強化学習
AIが自分で何度も操作パターンを試して、「どう動かせば一番省エネで快適か」を学習していく方法。
学習には時間がかかる一方で、より高度で自律的な最適化が可能になります。

強化学習を実現するためのシミュレーション

空調制御における強化学習のメリット

AI強化学習

このようなAI学習を活用することで、空調の動きを人手なしで最適化し続けることができるようになります。

アラヤでの取り組み

たとえばアラヤでは、シミュレーション環境での強化学習により、従来より効率的な空調制御戦略を構築する取り組みを進めています。
建物の熱負荷や換気量を踏まえた最適制御が可能となり、省エネと快適性の両立が実証されています。

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導入事例:実際に活用されている現場では?

空調制御システム導入事例

空調制御システム導入事例


空調制御システムは、すでに多くの商業施設・工場などで導入が進んでおり、省エネ・快適性の両立や管理の省力化といった成果が現れ始めています。
ここでは、実際の導入事例をもとに、「どんな課題にどう効いたのか?」を見ていきましょう。

施設や工場でのリアルな改善事例

たとえばある物流倉庫では、日中と夜間の人の動きに応じて空調を自動制御することで、
電力使用量を約半数削減。
さらに、温度ムラを自動で検知・補正する仕組みによって、作業員の快適性も向上しました。

別の中型オフィスビルでは、既存の空調システムに後付けでAI制御を導入。
CO₂排出量の可視化と自動調整によるZEBレベル向上を実現しています。

課題別|解決事例

導入現場の多くで、“省エネしながら快適性も向上”という結果が出ています。
また、管理の手間が減ったという声も多く、長期的な運用面でも評価されています。

課題 改善事例
空調の運転が常にフル稼働でムダが多い 人の動き・外気温に合わせて自動でON/OFF
温度ムラがありクレームが発生していた センサーで空間ごとの温度差を検知し補正
エネルギー使用量の把握が難しかった ダッシュボードで使用量を可視化
異常が起きても気づくのが遅かった AIによる異常検知で早期対応が可能に

さまざまな業種・施設での導入実績はこちらで紹介しています。

導入ステップと必要な準備

AIによる空調制御を導入するには、いくつかの準備とステップを踏む必要があります。
ここでは、導入にあたってのチェックポイントと、アラヤでのサポートフローをご紹介します。

導入前のチェックポイント|予算・設備状況など

導入を成功させるためには、まず「現場の現状把握」が重要です。
以下のようなポイントを事前に確認しておくことで、スムーズな検討・導入が可能になります。

●予算感の把握:IoTデバイスやBEMSとの連携など、システム構築にかかる費用を見積もる。
●既存設備との連携可否:空調機器や既存の制御盤との接続性や、通信規格の確認。
●建物の構造・規模:センサーの配置や制御ポイント数を設計する上での基礎情報。
●運用体制の有無:担当者の有無や、導入後の社内運用体制についても検討。

また、スモールスタートでの試験導入を検討することで、リスクを抑えた形で効果を検証することも可能です。

アラヤでのサポートフロー

アラヤでは、以下のような実装プロセスで空調制御システムの導入をサポートしています。
専門知識がなくても安心してスタートできます。

1.ヒアリング・現地調査
導入目的・課題・設備状況などを確認し、どこから始めるかを明確にしていきます。

2.設計・構成の提案
IoTデバイス(センサーなど)の設置箇所や、空調制御のパターンを定義。必要なシステムカスタマイズもご提案いたします。

3.検証フェーズ(PoC)
一部のエリアで強化学習・模倣学習を使った制御をテストし、効果や動作を確認します。

4.本格導入と運用支援
全体に展開しつつ、運用状況をモニタリングしながらチューニング。BEMS(ビルエネルギー管理システム)や他設備との連携も可能です。

5.継続改善
CO2削減や快適性維持を目標に、AI制御の最適化を続けます。現場の声を取り入れた改善も行います。

アラヤでは、建物の設備や条件に応じて最適な制御アルゴリズムを選定しています。
PoC(概念実証)段階から段階的に進めることで、無理のない導入・検証プロセスを実現しています。

空調制御システム導入の注意点と課題とは?

AIによる空調制御システムは高い効果が期待できる一方で、「導入してもうまくいかなかったら…」という不安もつきものです。
ここでは、実際に導入時につまずきやすいポイントと、失敗を避けるための対策をご紹介します。

よくあるつまずきポイント

①既存の空調設備と合わなかった
AI制御システムは、すでに設置されている空調機器との相性が重要です。
特に古い設備や独自仕様のシステムが使われている場合、連携に追加の開発や設定が必要になるケースもあります。

②導入後すぐに効果が出ると思っていた
AIは導入した瞬間に最大の効果を発揮するわけではありません。
データを蓄積しながら環境に適応していくため、成果が見えてくるまでには一定の期間が必要です。
効果検証には、運用条件を整えた上での中長期的な視点が求められます。

③社内に運用できる人材がいなかった
AI制御の仕組みや管理ツールに慣れるには、現場側の理解と教育が不可欠です。
導入時にマニュアル整備や運用レクチャーが不足していると、定着に時間がかかる原因になります。

失敗しないための対策ポイント

①現地調査と課題ヒアリングの徹底
建物の構造や空調設備の仕様、運用ルールなどを事前にしっかりと把握することで、最適な設計・導入プランを立てられます。
アラヤでは初期段階での丁寧なヒアリングを通じて、「導入しても使えない」状態を防ぎます。
②スモールスタート(1フロア・1棟での実証)
いきなり全館導入ではなく、小規模から始めて実証→調整→拡大の流れが成功のカギです。
効果や課題を見ながら柔軟に対応することで、無駄なコストや混乱を抑えられます。
③継続的な運用サポート体制の重要性
導入後も、運用支援やトラブル対応があることで安心して活用できます。
特にAIは環境変化に応じて調整が必要なため、ベンダーと連携してチューニングできる体制が重要です。

アラヤで導入の不安を一緒に解決しませんか?

空調制御システムの導入

空調制御システムの導入

空調制御システムの導入にあたって、「自社でもうまく使えるのか」「費用対効果は見合うのか」「社内で運用できるか」など、さまざまな不安や疑問を抱える方も多いです。

アラヤでは、導入前のヒアリングから開発・実装、運用サポートまで一貫対応
AI制御の専門知識がなくても、わかりやすく丁寧にご案内いたします。

たとえば、以下のようなケースでも安心です。
●自社に適した導入方法をプロと一緒に検討したい
●小さな範囲からテスト導入して効果を見てみたい
●社内説明用の資料やサポートも必要

アラヤは“現場で使えるAI”にこだわる企業として、単なる導入支援にとどまらず、シミュレーション開発や強化学習モデルの設計といった高度な技術支援も可能です。
空調AI制御に関する先端技術の研究開発にも取り組んでいます。

まずはお気軽に、無料相談をご利用ください。

よくある質問

Q1:AIによる空調制御は、従来のBEMSと何が違うの?
A:BEMSはあらかじめ決めたスケジュールや温度設定で空調を制御しますが、AI制御はリアルタイムのセンサーデータをもとに自動調整が可能です。
気温・湿度・人の出入りなどに応じて、きめ細かく快適性と省エネの両立を実現します。

Q2:初期費用はどれくらいかかる?
A:建物の規模や設備状況によりますが、数百万円~数千万円規模が一般的です。
ただし、スモールスタート(1フロア・1室のみなど)で始めることもでき、段階的な導入でコストを抑えることも可能です。

Q3:すぐに効果は出ますか?
A:一定の効果は早期に現れることもありますが、より大きな省エネ効果を得るには運用データを蓄積しながらAIをチューニングしていく必要があります。
1~3ヶ月程度の検証期間を設けるのが一般的です。

Q4:AIの知識がなくても使いこなせますか?
A:はい、アラヤのようなAIベンダーが導入から運用サポートまで一貫して対応しますので、専門知識がなくてもご安心ください。
管理画面やダッシュボードも直感的に操作できる設計です。

Q5:自社の古い設備にも対応できますか?
A:既存の空調機器やBEMSと連携できるかを事前に調査・診断した上で、必要に応じて後付けのセンサー・IoTデバイスを活用して対応可能です。

Q6:補助金や助成金は利用できますか?
A:省エネ対策として補助金の対象になる場合があります。
タイミングや地域によって制度が異なるため、導入前に確認・申請サポートを行うことが重要です。
空調制御導入に使える補助金の詳細はこちら(IT導入補助金)

まとめ

AIを活用した空調制御システムは、快適性と省エネを両立できる次世代の空調管理です。
従来では難しかったリアルタイム制御や最適化も実現でき、コスト削減や環境負荷の軽減にもつながります。

導入には準備や調整も必要ですが、アラヤなら調査・提案・実装・運用まで一貫サポートが可能です。
まずは無料で、自社に最適な空調管理や導入可能性をご相談ください。

執筆監修
代表取締役

金井 良太

【経歴】
2000年 京都大学理学部卒業
2005年 オランダ・ユトレヒト大学で人間の視覚情報処理メカニズムの研究でPhD取得(Cum Laude)米国カルフォルニア工科大学、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンにて研究員JSTさきがけ研究員、英国サセックス大学准教授(認知神経科学)
2013年 株式会社アラヤを創業
2020年〜内閣府ムーンショット事業プロジェクトマネージャーとしてブレイン・マシン・インターフェースの実用化に取り組む
【受賞歴】
文部科学大臣表彰若手科学者賞
ET/IoT Technology Award(2019)、JEITA ベンチャー賞(2020)など多数受賞