重機の自動運転とは?仕組み・導入事例・メリットをわかりやすく解説【導入支援あり】

建設現場でも、人が乗らずに動く“自動運転の重機”が実用化され始めています。
人手不足や安全性の課題を解決する新しい選択肢として注目されていますが、「本当に使えるの?」「費用は?」「どう導入するの?」と疑問も多いはず。
ここでは、重機の自動運転のしくみから導入事例・メリット・課題まで解説します。
建設現場などで重機の自動運転を導入するか検討している方は、ぜひ参考にしてください。
重機の自動運転とは?

重機の自動運転
建設現場でも、自動で動く重機が活躍し始めています。
ここでは「重機の自動運転ってどういうこと?」という基本から、国が支援している「スマート施工」まで、解説します。
重機の自動運転とは?
これまで重機を動かすには、かならず人が運転席に乗って操作する必要がありました。
しかし今では、センサーやAIの技術を使えば、誰も乗っていなくても重機が自動で動くことができるようになっています。
たとえば、掘削作業をするショベルカーが、あらかじめ決められたルートをたどって、自動で土を掘る→運ぶ→戻るという動きを繰り返せるのです。
人が遠くから見守るだけで、作業が安全に進められます。
「スマート施工」とは?国が支援している背景
「スマート施工(スマートコンストラクション)」とは、建設現場の作業をデジタル技術で効率化しようという取り組みです。
この中には、自動運転の重機を使うことも含まれています。
このスマート施工は、国土交通省が正式に推進しているプロジェクトで、2020年代から全国的に広がり始めました。
人手不足や高齢化が進む建設業界を支えるため、国としても重機の自動化を後押ししているのです。
重機の自動運転に使われる建機の種類とは?

建機の種類
実は、自動運転できる重機の種類はひとつではありません。ここでは、自動運転で動く重機をご紹介します。
自動化される建機
下記のような建機はよく自動化されています。
●油圧ショベル(ショベルカー)
●ダンプトラック
●ブルドーザー など
これらは建設の現場で特に使う機会が多く、一定の動きを繰り返す作業が多いため、自動運転に向いているとされています。
たとえば、ブルドーザーなら「土をならす」「勾配を整える」といった作業を事前に設定された設計データ通りに自動で動くことができます。
ショベルカーも、掘る→運ぶ→戻るという流れを繰り返す作業に対応できます。
自動重機が使用されやすい現場
これらの自動重機は、人が立ち入りにくい危険な場所や、広い造成地などで活躍しています。
たとえば、山間部の道路工事や、大規模な宅地造成などです。
また、災害対応など人手が限られる現場でも自動運転が役立つケースが増えています。
重機の自動運転の仕組みとは?

自動運転の仕組み
重機の自動運転は、ただ「動くだけ」ではありません。
周りを見て、判断して、正確に動く。そのためにいくつかの技術が組み合わさっています。
ここでは、自動運転の仕組みをご紹介します。
①センサーとカメラで「見る」
重機のまわりには、LiDAR(ライダー)やカメラ、GPSなどのセンサーが取り付けられています。
これらの装置で、まわりの人や障害物、地形の情報をリアルタイムでチェックします。
たとえば、カメラで前方の障害物を確認したり、GPSで自分の位置をミリ単位で把握してくれるのです。
②AIとソフトで「判断・操作」する
センサーで集めた情報をもとに、AIが「どう動くか」を判断し、ソフトウェアが重機を制御します。
「土を何cm削る」「角度をつける」などの操作を、人の代わりに自動で行うしくみです。
また、危険な状況が起きたときには自動で止まるしくみ(フェイルセーフ)もあり、安全性にも配慮されています。
重機の自動運転はどこまで使われている?国内外の導入事例

重機の自動運転は、もう未来の話ではありません。実際に、多くの建設現場ですでに使われ始めています。
ここでは、国内外の導入事例をご紹介します。
日本の導入事例(スマート事例)
たとえば、LiDARを使った点群データ処理で、重機の動きや掘削形状を1cm単位でリアルタイムに検出し、非GPS環境でも自動運転を可能にした実証実験が行われました(PR TIMES発表より)。
また、油圧ショベルによる土砂掘削からダンプへの積込を完全自動で行うシステム「OPERA」を使った実験も実施され、無人施工が可能であることが確認されています(清水建設、土木研究所、日立建機の共同発表より)。
アラヤによる油圧ショベルの自動掘削AI実験
AI開発企業アラヤでは、油圧ショベルが自分で土をすくう動きを学ぶ自動化技術を開発中です。
シミュレーター上でAIが何度も動きを試す「強化学習」と、熟練オペレーターの動きをまねる「模倣学習」を組み合わせ、 安定して土をすくう動きの自動化に成功しています。
これは、現場への実装に向けた技術検証として注目されており、コストや安全性の面でも効果が期待されています。
油圧ショベルの自動化についてはこちらで詳しくご紹介しています。
海外の導入事例(先進企業の取り組み)
たとえば、海外の技術企業が提供するプラットフォーム「ModelV」を使い、建設機械を後付けで遠隔操作・自動運転化する実証実験が行われました(PR TIMES発表より)。
このシステムは複数メーカーの重機に対応し、40社以上と共同で実験が進められており、現場のDX(デジタル化)にも貢献しています。
重機の自動運転のメリット・デメリット
重機の自動運転を導入すると、現場の作業が大きく変わります。
ここでは、実際に期待できるメリットと、今の課題をわかりやすくご紹介します。
導入するメリット
まず、人が足りない現場でも作業量を保つことできる点が大きなメリットです。
自動運転なら、1人の作業員が複数台の重機を同時に監視することもできます。
また、危険な場所で人が操作しなくても作業できるので、事故リスクが減って安全性も向上します。
特に夜間作業や災害現場などでの活躍が期待されています。
導入するにあたってのデメリット・課題
一方で、初期コストが高いことや、使いこなすまでに時間がかかるという課題もあります。
センサーや通信機器などの設備投資に加え、現場のオペレーターが新しい操作に慣れる必要も出てきます。
また、現場ごとに地形や作業内容が違うため、その都度カスタマイズや調整が必要な点もハードルとなるでしょう。
AIの知識がなくても導入できる!AIベンダーに頼むという選択肢
重機の自動運転は魅力的でも、「AIやセンサーの知識がないと難しそう…」と思う人も多いかもしれません。
でも実は、AI開発ベンダーに依頼すれば、導入の計画から現場検証まで一貫してサポートしてもらえます。
たとえば、「現場で本当に使えるのか不安」「コストが見えにくい」といった悩みも、課題の整理から一緒に進められるので安心です。
技術に詳しくない方でも導入しやすく、ハードルをぐっと下げられます。
自社現場で導入するまでの流れ
「うちの現場でも導入できるのかな?」という方のために、導入のステップを簡単にご紹介します。
難しく見える自動運転重機も、流れがわかればぐっとハードルが下がります。
導入ステップはたった4つ
1.現場の課題を整理
どんな作業を自動化したいのか、現状を洗い出します。
2.対象となる重機や作業の選定
油圧ショベル/整地/状況に応じて選びます。
3.導入準備・調整
必要なセンサーやソフトを装着し、現場に合わせた設定を行います。
4.試用運転・本格導入
小さく始めて、徐々に本格導入へと移行していきます。
アラヤなら導入の流れもまるごとサポート
「導入がむずかしそう…」「現場で本当に使えるのか不安…」という方も、アラヤなら導入の最初から最後までしっかりサポートしております。
1.ヒアリング
現場や業務の流れ、抱えている課題を丁寧に聞き取り、AI導入の目的を一緒に整理していきます。
2.提案・開発
専門的なコンサルティングの知見を活かして、現場の課題に合わせたAIの使い方を考え、最適なシステムを作っていきます。
視点を1つに絞らず、さまざまな角度からアプローチすることで、現場に合った実用的なAIを提案・開発できます。
3.実装・検証
実際の現場でAIを使って作業を進めながら、「どこが使いやすいか」「どこをもっと良くしたいか」などの声を聞いて、改善につなげていきます。
4.改善・運用支援
導入したあとは、実際の動きやデータを見ながら、AIの動きがもっとスムーズになるように調整していきます。
また、現場の作業内容が変わった場合も、それに合わせて改善できるので、ずっと使いやすい状態を保てます。
AIに詳しくない方でも、「こうすればできる」という具体的な道筋を示しながら導入できるのがアラヤの強みです。まずはお気軽にご相談ください。 無料相談バナー
他にもある、建設業でのAI活用事例
アラヤでは、重機の自動運転だけでなく、建設現場におけるさまざまなAI活用支援を行っています。
たとえば、資材搬送のルートをAIで最適化するシステムや、画像解析による接触事故防止の自動検知、作業状況の自動記録と分析など、現場ごとに異なる課題をAIで解決してきた実績があります。
こうした経験をもとに、お客様の現場に最適な「使えるAI」を一緒に考え、ご提案しています。
「実際にどんな現場で使われているの?」という方は、アラヤのAI活用事例をご覧ください。

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よくある質問
Q1:自動運転できる重機って、どれくらいの価格なんですか?
A:重機そのものというより、自動化のための後付けキットやシステムの費用が中心になります。
導入コストは内容によりますが、数百万円〜数千万円規模が一般的です。
ただし、現場の規模や用途に合わせて柔軟に調整できるので、まずは相談するのが安心です。
Q2:GPSが使えない場所でも、自動運転はできますか?
A:はい、最近ではGPSが届かないトンネルや都市部でも使える技術が開発されています。
たとえば、LiDARやカメラなどの画像認識を活用する方法があり、精度も高くなっています。
アラヤでも非GPS環境に対応した自動運転の実証実験を行っています。
Q3:ICT施工ってよく聞くけど、自動運転とどう違うの?
A:ICT施工とは、ICT(情報通信技術)を使って施工の効率化を図る取り組み全体を指します。
その中のひとつとして、「重機の自動運転」も活用されています。
つまり、自動運転はICT施工の一部であり、スマート施工の重要な要素になっています。
Q4:自動で動く重機って、どのくらい正確に作業できるんですか?
A:現在の自動運転重機は、1cm単位での土量や位置の調整が可能なほど精度が高くなっています。
人が操作するよりも均一な仕上がりが期待できる場面もあります。
精度は、使用するセンサーや現場の環境によって変わるので、導入前の確認が大切です。
Q5:遠隔操作と自動運転って、どう違うんですか?
A:遠隔操作は人が別の場所からリモコンのように操作する仕組みで、操作は人が行います。
一方、自動運転はAIが自分で判断して動くしくみなので、基本的に人の操作は不要です。
ただし、実際の現場では自動運転+遠隔監視を組み合わせるケースも増えています。
Q6:導入までにどれくらいの期間がかかりますか?
A:現場の条件やカスタマイズ内容にもよりますが、数週間〜数ヶ月が目安です。小規模な検証から始めて段階的に導入するケースが一般的です。
まとめ

重機の自動運転
重機の自動運転は、建設業界の人手不足や安全性の課題を解決する、これからのスタンダードになりつつあります。
自動で動く重機は、AI・センサー・カメラなどの技術によって支えられており、すでに国内外の現場で使われ始めています。
メリットは多い一方で、コストや技術的なハードルも存在しますが、専門ベンダーのサポートを活用すれば、AIに詳しくなくても安心して導入が可能です。
アラヤでは、ヒアリングから導入、運用まで一貫した支援体制を整えており、実際の現場に合わせて、無理なく活用できるAIをご提案しています。 無料相談バナー

金井 良太
【経歴】
2000年 京都大学理学部卒業
2005年 オランダ・ユトレヒト大学で人間の視覚情報処理メカニズムの研究でPhD取得(Cum Laude)米国カルフォルニア工科大学、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンにて研究員JSTさきがけ研究員、英国サセックス大学准教授(認知神経科学)
2013年 株式会社アラヤを創業
2020年〜内閣府ムーンショット事業プロジェクトマネージャーとしてブレイン・マシン・インターフェースの実用化に取り組む
【受賞歴】
文部科学大臣表彰若手科学者賞
ET/IoT Technology Award(2019)、JEITA ベンチャー賞(2020)など多数受賞