ゲーム開発における品質保証を効率化するAIを開発しています

プロジェクト概要

アラヤの自律エージェントチームは、機械学習・強化学習技術を応用した、ゲーム開発におけるQA(Quality Assurance/品質保証)の効率化に向けた取り組みを行っています。
[2020.5.19] 内容を更新しました。

背景

大規模化・複雑化が進むゲーム開発においてQAの効率化は喫緊の課題であり、ゲーム業界ではテストプレイの自動化に関する様々な取り組みが始まっています。
そこで、アラヤでは機械学習・強化学習技術に基づいて能動的にふるまう「自律エージェント」をゲームのテストプレイに活用することで、より高度で効率的なQA手法の実現を目指しています。

自律エージェントをテストプレイに活用するメリット

「自律エージェント」とは自ら状況を判断しタスクを遂行するAIのことで、ゲームの操作を自らゲームをプレイすることで試行錯誤したり(強化学習)、あるいは人間が与えた手本データから学んだりする(模倣学習)ことで習得します。
従来の自動化技術では、手順をスクリプトやマクロとして詳細に書き下す必要がありましたが、自律エージェントを活用した場合、その作業が不要になるため、より手軽に多様なテストを実施可能になると考えています。

活用事例1:通しプレイの自動化

従来のQA効率化/自動化技術にはRPAなどテストスクリプトを書いて実行するものがありますが、ゲームのランダム性や通信遅延などの外乱により、一度作成したスクリプトが有効に動作しなくなることがありました。
強化学習技術に基づく自律エージェントは、常に自らの状態を観測し、状態に応じた最適な行動を選択するため、ランダム性や外乱に対する高い頑健性が期待されます。そのため、自律エージェントは、通しプレイなど複雑で長時間の操作が求められるテスト項目に対して大きな効果を発揮すると考えています。

活用事例2:バランス調整のサポート

ソーシャルゲームやオンラインゲームなど頻繁なアップデートを必要とするゲームでは、コンテンツの組合せが雪だるま式に増加し、バランス調整が次第に困難になります。
そこで、自律エージェントに自動でゲームを繰り返しテストプレイさせることで、新規コンテンツに関するバランスや難易度が適切かの評価に役立てます。これにより、バランス調整に要する作業時間を短縮し、さらに調整ミスを減らす効果があると考えています。

活用事例3:クローンプレイヤーの作成

オンラインゲームなどで、開発・運用者側にプレイヤーの操作ログが蓄積されている場合、操作ログを元にエージェントを模倣学習させることで、学習元となったプレイヤーの振る舞いを模倣するクローンを作成することが可能です。例えば、クローンプレイヤーには以下の活用法が考えられます。
・プレイヤーの腕前ごとのクローンを作成し、テストプレイに使用することで、バランス調整の参考にする。
・対戦・協力ゲームでプレイヤー数が足りなくなった場合の補充要員など、ゲーム内コンテンツの一つとして活用する。

今後に向けて

アラヤでは、AI/強化学習技術の検証に向けた取り組みを行っております。また、ゲーム開発の現場における具体的な課題を解決すべく、ゲーム業界のパートナー企業様を募集しております。

本プロジェクトに関して、以下の学会発表もご覧ください。
・谷村優介, 安本雅啓: “ゲーム開発のQA効率化に向けた強化学習技術の実応用に関する一検討”, 日本デジタルゲーム学会(DiGRA JAPAN)第10回年次大会予稿集, pp.84–87, 2020.
日本デジタルゲーム学会第10回年次大会Webページ:http://digrajapan.org/conf10th/